2013年11月20日水曜日

本当はとってもお上品だったのか?

 それはとあるドラマのワンシーンに差し掛かったときのことでした。

 パリッとスーツを着こなした俳優だったのですが、ラーメンをズルズルっと啜り上げた瞬間、この俳優に対するファンタジーがガラガラと音を立てて崩れ去ってしまったのです。


「あの音はどうもいただけないなあ。」


 ポロッと漏らした一言を同居人は聞き逃しませんでした。


「いや、あれはとても理に叶っている。自分でやってみてわかった。」


 理屈はこうです。


 日本の料理に不慣れだった頃に、カナダ人の友人の紹介でキムチラーメンを食べる羽目になったのですが(この時点で和食でない)、紹介された店が韓国人経営の食堂だったので、辛さレベルは当然激辛のみ。

 もちろん、とんでもなく熱い、辛い!

 欧米諸国のテーブルマナーでは、食事中に音を立てるのは禁物なのですが、周りを見わたすとみんなズルズルやっています。

 みんなやってるのだから、まあ、ものは試しでズルっとやってみたところ、すべての謎が解けたのだとか。


「ズルっと啜り上げると、空気がうまい具合に麺のすき間に入り込むことによって、冷却効果が得られるんだよ。
だから熱いラーメンも美味しくいただけて、飛び散らない。はやく食べられる。なんて合理的なんだ!」


 そう熱弁を振るう同居人。


「あのズルズルって音がどうも汚い音に聞こえちゃってなあ。それにうまくズルってできないんだよ。」


 そう返すと、呆れ顔で一言。


「本当に日本人なの?」


 せめてお上品な奴と言ってほしかったです。