あまりに有名な方のお話なので、ここではお名前を伏せてテキトーに語ってみます。
みなさんも恐らくニュースでご存じのとおり、彼の事業は資金繰りに困窮して倒産の危機に追いやられているそうです。
倒産を匂わせているとはいえ、事実上倒産も破産もしてないところは誤解してはならないポイントだと思います。
ですから、それを断定的に報道してしまうメディアのやりかたには強い違和感を覚えます。
うず高く札束を積み上げ、美女をはべらせ、高級外車を乗り回し、高級料亭で大盤ぶるまいするなどの豪遊ぶりがネットやテレビでも取り上げられていましたから、今ごろザマあ見ろとほくそ笑んでいる人も結構いるのではないでしょうか。
しかし悲しいかな、世の中の多くの人びとが思い描くような、裕福で満たされた人生とは、まさに彼のような状況を指していたのかもしれません。
彼は率先してそのモデルを演じ、賛否両論あれども多くの人びとに夢や希望を与えたことでしょう。
これでもかと言わんばかりの成金趣味は、メディアへの露出を狙ったマーケティングの一つにすぎないことは理解していましたが、それよりも彼が築いたビジネスモデルの方が以前より気にはなっていました。
YouTube で公開されている無料セミナー動画を 3 本ほど視聴したことがあるのですが、ここですぐに気づくことは、彼の頭の回転の速さと、ずば抜けたプレゼンテーション能力の高さです。
これなら最初は懐疑的であっても、彼の話を直接聞いているうちにすっかりファンになってしまったという方がいらっしゃっても不思議ではありません。
オーバーアクションなしで数十分、数時間もぶっ続けでトークを繰り広げ、人の心を掴んで揺さぶるというのは、熟練の演者でもなかなか難しいものです。
内容はともかく、人前で話す仕事をされている方には参考になる話術の数々が詰まっていると思います。
しかし、よくよく話に耳を傾けてみると、彼の目指すビジネスモデルの全容がビデオからは殆ど伝わってこないのです。
それを知りたければ高額のセミナーに参加して話を聞きに来いということなのでしょうが、見込み客にとってそのモデルが収益を約束するものでなければ、やはり懐疑的な人間には胡散臭いものに見えてくることは否めないという印象でした。
彼は過去をふり返り、今までのやりかたが間違っていたと反省し、今度は方向性を変えてチャレンジするという内容の記事を自身のブログに投稿しました。
すると、彼のブログはたちまちのうちに社長ブログランキングで一位を獲得し、そしてこれから始まる有料のメルマガにも登録者が続々と集まってきたのです。
これほど影響力の強い彼がこれから何をしようとしているのかはもうお分かりですね。
「秒速で1億稼ぐ男」というブランディングに食傷気味だった人たちや、彼に対し批判的だった人たちを焚き付け、新たな顧客へと転換していく。
その目的なくして、自分にとってマイナスにしかならない自虐的な記事をわざわざ投稿するなどという愚行に走ることはないでしょう。
プライベートを切り売りしながら情報発信で稼いでいた人ですから、それくらい何でもないはずです。
自分ブランドの賞味期限をとうの昔に把握しており、それを完全に削ぎ落とすチャンスを窺っていたとも考えられます。
このようなわけで、まんまと踊らされているのは誰なのか、気づいている人は気づいていることでしょう。
もちろんそれが悪いと申し上げているわけではございませんので、その辺は誤解なきようお願いいたします。