2014年6月23日月曜日

危険なクセ

どなたでもちょっとしたクセを持っていらっしゃることと思います。

 クセは個性の一つになりますが、度がすぎると精神的負担が大きくなりますから、気をつけるに越したことはないでしょう。
かつて同居人は、靴を履いてから玄関を出るまでに 10分くらいかかっていました。
 玄関の鍵を開けるときのカチャン、という音を 20 回くらい確認するのです。
 そして外に出て、鍵をかけると、またしっかり施錠されているかを 20 回くらい確認するわけです。
 当然、玄関のロックがだんだんバカになっていったんですけどね。
同じように、いくつか同じものを買うと、並べて上から順に指さし数えるというクセもありました。

 後で、こういった一連のクセが強迫神経症の症状であることがわかり、本人はかなりホッとしていました。
 しかし、並べグセと数えグセが私にもバッチリ移ってしまったのには困ったものです。
ときは遡って高校生の頃の話です。

 机に頬杖をつくのが行儀が悪いと叱られたため、頬杖をつきそうになったタイミングで机から肘を浮かすようにしていたところ、それがクセとして定着しました。
 授業中に何度も挙手してしまうものですから、答える気もないのに当てられまくるというパターンに陥ってしまったわけですよ。

 それでもしばらく手を上げるクセは収まらなかったですね。
こういったクセは、できるだけ考えないようにすると、少しずつ改善していくようです。
 さすがに学生時代の挙手グセはもう出ないですが、残念ながら並べグセはまだ少し残っています。
ついでに、従妹の家に遊びにいったときのことをお話しします。

 彼女の机の上にテープレコーダーが置いてあったのですが、テープを聞きながらでないと勉強ができないと零していました。
 普通、そういったら学習内容がぎっしり詰まったテープとか、集中力が高まるような音楽が録音されたテープだと思うじゃないですか。
 そこで例のテープを再生してみたわけですよ。
「線を引かないで……線を引かないで……線を引かないで……線を引かないで……線を引かないで……」
何と最初から最後まで「線を引かないで」というフレーズだけで埋め尽くされていたのです。

 それも両面ビッシリと。
 しばらく聞いていると、日本語に聞こえなくなってくるので不思議です。
「だってこのテープかけておかないと、教科書や本に線引いちゃうんだもん」

 そう彼女はそのテープの存在理由を申しておりましたが、念仏の繰り返しによってもたらされるトランス状態に近い状態に陥る可能性があるので、聞きすぎは危険だと思いましたね。
「修行するぞ」

 とやっていることはまったく同じですね。
 実は、先に従妹の方が「線を引かないで」テープを使って自己暗示を実践していたというオチでございます。