2015年3月25日水曜日

フーゾク取材の黒歴史

 恐らく、当時私と行動を共にした人は「あいつだ!」と心の中で叫ぶかもしれませんが、その叫びはどうぞご自身の心にそっとしまっておいてください。

  私のフーゾクとの出会いはハナタレもいいとこの 10歳の頃でした。
 小学校高学年の社会研究の時間のことです。

 普通なら、地元の歴史を調べたり、工場や会社などを見学させてもらったりするのが子供らしい社会研究の行動じゃあないですか。

 「これからはフーゾクでしょ、フーゾク。」 

 と同じ班のハナタレ男が、風俗産業で決定とばかりに私たちに吹聴してまわりました。
 エロいマセガキで有名な彼のことです。

 鼻の下をビローーーンと伸ばしながら、きったない字でノートに質問事項をまとめはじめました。 

「おまえらさ~、フーゾクってなにか知ってる?」 

 ポカーンとアホ面をかます私たちを前に、彼が続けます。 

「きれーなお姉さんが出てきてさ~」

 それでピーンときましたね。  

「エッチな本みたいなことをするんでしょ?」

 なぜか眠たいはずの授業中、私たちの班が異様な盛り上がりを見せはじめました。
  もう全員ノリノリ状態です。
 電車に乗って取材しに行こうということになりました。 

 そして電車に揺られて行ったのが新宿、歌舞伎町ですよ。
 今考えてみれば、ハナタレのガキとはいえ、昼間でも小学生のグル―プがフラフラするような場所ではありません。 

 昼間はギラギラした雰囲気ではないのですが、スーツを着た夜の商売人たちがフラフラしていましたね。
  取材写真として、電気の通ってないネオンサインやお姉ちゃんたちの看板をインスタントカメラで撮りまくったわけですよ。

 「やっぱり話も聞かないとね」 

 などと言いながらも、コワイお兄さんたちに話かける勇気はありません。
 地元でも子供が行方不明になった話を聞かされていたせいもあるでしょう。
 ひとしきり写真を撮ったあと、エロいリーダー持参の地図に書かれたマルを頼りに区役所まで行きましたよ。

 フーゾクについて教えてくださいと言ったところ、担当のオッサンに爆笑されましたが、風俗産業の問題点をいろいろ説明してくれて、社会的にはなくしていくべき産業だが、それを必要としている人もいるんだよねーとミョーに意味深な言葉で終わりました。
 エロい情報をたくさん仕入れるはずが、結果的に大真面目な社会研究テーマとなりました。

 週が明けて模造紙にマジックで情報を書き込みながら、なんか一仕事やりとげたような達成感をメンバー全員が味わいましたね。

 ネットがなかった時代でしたので、規制がユルかっただけかもしれませんが、よく担任がこのテーマを許したなと今でも思うわけですよ。


2015年3月2日月曜日

皮肉にも当たった予言

 予言って誰にでもできます。
 それが当たるかどうかはまた別の話というだけで。

 もちろんその多くはハズれてくれます。
 やってみたい方は、ノートの切れ端とか、ネットのどこかに投稿してみたりしてもよいかもしれません。 

 タイトルに戻りますが、当たったのは私の予言ではありません。
 十年くらい前にネットでちょっとだけ話したことがある日本人のヲッサンでした。
 当時は時事問題をあつかった文章をたまに書いていたのですが、そこに意見を書き込んでくれていたのが彼でした。

 私のプロフィールを見て年下と判断したのか、いきなりタメ口でしたけどね。
 でも、こちらは上下関係を意識した態度を取らなければアウトなんだろうと思い、敬語づかいで丁寧に応対していました。

 正月は初詣、盆暮れ彼岸に墓参り、クリスマスにはサンタがやってきて、結婚式はチャペル、葬式に坊さんが来るという、日本人の宗教観の節操のなさ(よい意味で)について書いたときのことです。
 すかさず、ヲッサンが元気にやってきました。 

「今世紀は宗教問題が表面化するよ。とくにイスラム教の台頭がすごくなって、日本も絶対に無視できなくなる。大規模な紛争も勃発するね。」

 「日本のキリスト教徒の割合が 1% たらずなくらいですから、国内でイスラム教徒が激増する可能性は低いでしょう。」

 「違うよ。親日派が多い中東で日本を敵視する勢力が出てくるんだよ。多分ね。」

 いまとなっては、最後の「多分ね」がシャレにならない当たり具合でございます。
 当時の Web サービスは終了して跡形もなく消え去ってしまいましたが、あのヲッサンとまた話す機会に恵まれたら、その続きを是非聞かせてほしいものです。